ここ最近、比較的静かだったSEO界隈が盛り上がりを見せている。
ひとつはヘルスケア系情報サイトの「Welq」や女性向け情報サイト「MERY」などのいわゆるキュレーションサイトによるモラルが欠けるとされるSEOについてだ。
もうひとつは、アルゴリズムに関わる更新が少なくなったGoogleにとって近年稀にみるアップデートと言えるモバイルファーストインデックス(MFI)についてだろう。アルゴリズムの評価基準をモバイルサイトにしようというものですね。
はじめに「Welq」の問題に簡単に触れさせていただくと、ホームページの内容をよそのサイトから引用してまとめるというキュレーションサイトの根本が、著作権などの観点でグレーゾーンだったり、またヘルスケアサイトなのに「死にたい」などのセンシティブな検索ワードでSEO対策してアフィリエイトサイト(商品を紹介する代わりに企業から販売マージンを徴収することを目的にしたサイト)に誘導するのはいかがなものか?といったものです。
これについて、Webに身を置く者としてはっきり言わせていただくと、出る杭が打たれたなって感じです。
SEOを専業にしている人や、メディア関係者には疎ましい存在だとも思います。
それくらいに両者はSEOでのし上がり実績を出しています。
僕は彼らのキュレーターとしての倫理観ややり方について良いとは思っていません。
しかしながら、「死にたい検索」を持ち出して「自殺」といったセンシティブな内容で、ネガティブキャンペーンを行う行為は、「死にたい検索」をSEOで利用した者と同等の行為であることを自覚しているのだろうかと思うわけです。
彼らの行為を糾弾するのであれば、キュレーションやヘルスケアの内容に携わるものが持つべき編集規範について述べれば良いだけで、多数のコンテンツがある中で炎上しやすい「自殺ネタ」を持ち出してきたなというのが私の思うところです。
私はこういったやり方は好きではありません。
問題点がボヤけるだけだからです。
結果、こういったネタは炎上しますし伝播もしやすいです。また企業の立場としても看過することができなくなるでしょう。
でも、そこでしょうか。
うがった見方をすれば、急成長メディアへの営業妨害とも取れます。
声が大きい方の論理で進んでいくのであれば、それはとても正しいとは思えないキュレーションサイト乱立の矛盾と同じじゃないかなって僕は思うんです。
簡単にまとめるつもりが、原稿用紙1枚くらい書いちゃいましたね。
この問題については、僕自身凄い思入れがあったので書いてしまいました。すいません。
今日のテーマは表題の通り「モバイルファーストインデックス(MFI)」とコンテンツSEOについてです。
限りなくホワイトで多様性を失った色のない世界
Googleのアルゴリズムが進化を重ね、パンダアップデート・ペンギンアップデートなど、より検索する人にとって使いやすい検索エンジンになりました。今では外部リンクを大量につけることで検索順位の操作をすることは難しくなっています。
その頃から言われ始めたのがContents is Kingの大号令のもとに始まったコンテンツマーケティング、言わばホームページの内容そのもので集客しようというマーケティング戦略です。
名前なんてつけなくても本来あるべき姿なんですけどね。
どうしてこのような事が起こったかと言えば、それまではSEO対策で検索順位を上位に表示する事で、要は集客手段を持っていれば内容はどうでも良かった訳です。
それが今では検索アルゴリズムの進化により、内容も良くないと上位に表示されなくなったと言うことです。
でも。
次に起こる事は、「それじゃ検索上位に表示されるようなコンテンツを作ろう」ってことです。
当然、Googleの「ユーザーにとって有益なコンテンツ」という思惑とは少しずれます。
いかにメディア関係者やWebを生業にするものにとって、Google中心の商売になっているかということですね。
今のSEO界隈やWeb業界の環境成熟度は「Googleのガイドラインに抵触しない、ホワイトなSEO手段を確立し、体系化され始めたコンテンツSEOの乱用が始まった」所です。
コンテンツSEOはいつから文字数主義になった
SEOと文字数の関係はパンダアップデート前からも言われていたことです。しかしながら、Googleが直接文字数について言及した事はありません。
「ユーザーやコンテンツを説明するのに必要なだけ」と毎度の暖簾に腕押し的な話はありましたが、立場を考えればそりゃそうだって話です。
1000文字以上書こうとか、統計的には2000文字前後が良いとかって話題は今でもたまに耳にします。
実際、ここ数年は文字数が多いコンテンツがSEO的に有利な状況はあると思います。
そういった環境に適応するものとして出てきたのが、コンテンツマーケティングの派生とも言えるコンテンツSEOです。
検索エンジンの構造や仕組みを考えれば、1キーワードの単語レベルでのSEOはいかに網羅性がコンテンツの評価に関わるかは明白なので、必然的にそれを補う文章量が必要になります。
それでも、ユーザーはみんなが辞書を引いているわけではないですからね。
ファクトが 知りたいだけならWikipediaや辞書があれば良いですから。
文字数に関しては作業量としては確かに増えますが、文章を書くことに慣れている人間にとってはそんなに大変な作業ではありません。
私が先日書いた糖質制限の記事とかはまさにそれで、あれはビジネスを考えて書いているのであれば絶対に真似してはいけない例です。
大したことない内容を3000字使って喋ってるだけですから。
話を戻します。
大量の文章を書く事はできても、読ませる事は容易ではありません。
そこで出てきたのが「会話形式のコンテンツ」です。
これは文章量の担保と読みやすいという両方を満たしたナイスなアイディアでした。
ただし、これは誰でもできるという方法とは違い、残念ながら模倣した完成度の低いコンテンツが増えました。
でもそれは、制作者の問題であって本質はそこではないと思います。
ユーザーにとっての有益性。
みんなそんなに時間をかけて活字を読みたいですか。
僕は100字で足りる内容を、SEOのために引き伸ばして2000文字使って説明されてもとても読みたとは思いません。
満足感って文字数で得られるものとそうでないものとあるんじゃないでしょうか。
なおかつこれらは、読み手のリテラシーや理解度によって大きく変わります。
会話形式のコンテンツは問題点の掌握や課題解決までに会話を追わなければいけないので非常に時間がかかります。
ファクトを知りたい時、問題点の解決を優先する時あまりに不便です。
読みやすさを初心者に合わせ過ぎると中級者以上にとって回りくどかったりするのと同じです。
と言いつつ2500文字を過ぎてしまいましたね。
いずれにしても、これらのことやGoogleへのもどかしさが、この1年前後僕がSEOから距離を取った理由です。
真のモバイルファーストインデックス(MFI)を考えよう
僕は仕事上のスキルやプログラムの知識はGoogle検索によって得たところが大きいです。僕がずっとGoogleを使い続けていたのは、その当時から世界一の検索エンジンであるとユーザーとして感じ、またヴィジョンに共感していたからです。
だから今でもGoogleが大好きです。それだけの感謝があるから。
僕は仕事のことでは綺麗事とかネタとか言わないです。
思えば、ユーザーファーストの思想のもとモバイルフレンドリーアップデート、モバイルファーストインデックス(MFI)とここ数年のGoogleは完全にモバイルシフトしています。
モバイル最適化。
確かに縦スクロールはデスクトップよりも気軽です。
それでも長文をスマートフォンで読むのは、僕はちょっと嫌かもな。
モバイルファーストインデックス(MFI)を単純な評価基準の変更だけでなく、モバイルフレンドリーとの連携を強めてもらいたいって思います。
モバイルなら要点がまとまっている文章の方が価値が高いと思うしね。
デスクトップであっても僕はそう思うけど。
長文を読ませることがユーザーファーストではないはず。
また、長文を読ませたい訳でもないはず。
お互いにユーザーのことを考えていてすれ違っているのなら、そんなの悲しいじゃない。
SEO(Search Engine Optimization)からSXO(Search Experience Optimization)へ。
感じ始めた本質からの乖離とコンテンツへの回帰はまさにこれからなのではないだろうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿