2015年8月21日金曜日

新・観光立国論に触発され真のおもてなしとは何かを考える

古きを温め、新しきを知るには

いや〜、読書苦手な僕が久々に読み切りましたよ。
もう、目から鱗というか著者のデービット・アトキンソンさんっていうイギリス人の人なんだけど「俺も同じ事考えてた!」とか着眼点が似てるなとか思いながら読み進めました。
共感できるところがかなり多かったので、うんうんと頷きながら時に笑いながら読んでしまいました。

 
僕もなんだかんだで結構影響されやすい方なので、いわゆる「おもてなし」マジックにすっかり魅了された日本人の一人でしたが、どうやら海外から見ると意外にも冷ややかな反応だったという事で、僕としてはメディアや推進派にしてやられたなといった所でした。
もちろん東京オリンピックは大賛成ですよ。リベラルな僕でも自国開催のオリンピックは非常に喜ばしい事です。
まぁ、ただ本書を読む限りは国内向けのプロパガンダと言っても差し支えなかったのかなといった感じで、随分と物の見方や考え方を変えてくれた本でした。
完全に染まるというよりは、新しい色を教えてくれたと言った方が正しいのかもしれません。
あのプレゼンは誰に向けての物だったのか、という事を考えれば確かにデービットさんの言う通りだなと思いました。
おもてなしという名の押し売りならいらないってのは確かにわかる気がします。
もてなす気があるなら、まず客を知れという事でしょうか。
インバウンドマーケティング志向が高い僕としても「来たい人だけ来てね。買いたい人だけ買ってね」っていうようなおごりがあったかもしれません。
まぁ、僕的にはターゲティングとセグメントの結果なのでそれはそれとして受け止める事はできるのですが、確かに日本の観光業だけでなくサービス業全般にこういった配慮が足りず、逆に言うとサービスに対してお金を支払う関係について抵抗があるように思います。

日本では、質の高いサービスを求める時には商品単価やお店のグレードで判断するのが一般的で、求める側も提供する側もサービスそのものに値段を付ける事はあまりありません。
それでは、お店の提供していないメニューを要求する時、例えばラストオーダーが終わった後の注文などは「お客様のわがまま」と切り捨てる事がはたして適当でしょうか。
僕自身の日本人的発想では、まぁフランチャイズやチェーンの居酒屋なら仕方ないかなって感じですけど、ある程度格式もあるようなお店でこれをやられたらちょっと横柄なお店だなって思います。
これなどはまさに、商品単価やお店のグレードに、サービス料も含まれているという暗黙的な認知による所だと思います。

ただし、この暗黙的な日本人の発想こそが海外からの渡航者や外国人から見れば疑問に感じる所なんだっていう認識は持たないといけないなって思いました。

10年以上前からグローバルコミュニケーションという言葉が一般的に使用されるようになりましたが、コミュニケーションの前提は相互の理解の上で成立します。
本当に「お・も・て・な・し」する気があるのであれば
少し海外の声に耳を傾けてみた方が良いのかもしれません。
お客様の反応は非常に正直なものだと思いますよ。

PS------
「もっと本の内容を入れないと読んだ人にしか分からないよ」と、ごもっともな指摘を受けたのでちょっとだけ加筆します。
と言っても、そこそこ「新・観光立国論」の中で語られている事に触れながら書いてはいるんですけどね。

正直、僕はデービットさんのアナリストとしての読み的な部分はどうでも良くて、観光産業における現在の世界と日本のギャップはどういった所なのか、ポイントがいかにずれているかって事が本書の核心となる部分で僕自身の関心事項です。

著者の特徴として、関係先に配慮するあまりお断りとしての前置きが長くなるところが各所にあるのでこの文量ですが、著者が言っている事は極めてシンプルです。

本書のポイントは、顧客目線と多様化・ダイバーシティに対応した一般層から超富裕層まで対応できる観光インフラの整備とオリンピックを通じもっとグローバリゼーションの中の日本を確立しろってメッセージですかね。
鎖国してる場合じゃないぞって話です。

本当ザックリで申し訳ないんですが、本当オススメです。
特にWeb系の仕事の人やアクセス解析を使う人、もちろん観光業の人にはオススメです。
共感できるポイントが多いと思いますよ。
て言うか、もてなす気がある人とかサービス業の人も。
んー、日本人にオススメです。(もうターゲティングとかシラネw)
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Kindle版で試し読みだけでもぜひ!
デービッド・アトキンソン 新・観光立国論
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